ぬるま湯につかりつつ

温室の中から叫び声をあげてみる。役に立つことなんて書かない。

独善的で傲慢なおっさん、おばさん達へ

2年間で2万個おにぎりを握ったという高校野球部の女子マネのお話。

 

これを素直に「すごいなぁ」「えらいなぁ」と言えない天邪鬼な大人が世の中に多いってのは喜ばしい事ですね。

「なぜ女子マネが部員のおにぎりを握らなければならないのか」

「進学クラスを諦めるということは社会に出るより男に奉仕する方を選んだということか」

「体育会系のこういう雰囲気が嫌いだ」

と若者への失望なのか青春への嫉妬なのか嘆いている方が見られます。

 

こういう意見に一言感想を言うとすれば、「余計なお世話だ」ということです。

勉学より部活を優先したこと、そして社会に出るより男性に奉仕する方を選んだこと(彼女がこのように意識していたかは分かりませんが)。

彼女のこういった選択に上から目線で正しい、間違っているなどとジャッジを下す権利が誰にあるのでしょうか?

 

あの新聞には自分の高校が勝って満面の笑みを浮かべる彼女が載っています。

では「進学クラスを諦めるなんて愚かな選択だ」と嘆く方々に聞きます。

彼女が部活を適当にこなし進学クラスで勉学に明け暮れ、家でなんとなく甲子園を見ていたとしたら、彼女にこの笑顔があったと言い切れますか?

青春を勉学に費やし良い大学に入り社会で活躍する女性になったとして、それが彼女の幸せだと言えるのですか?

人の幸せを決めつけるなんて流石に驕りすぎです。

 

それに私の経験から言わせてもらうと、勉学のために部活を途中で投げ出すような子は勉学も大して伸びません。

高校時代、部活の同期が勉学に集中したいと部活を辞めていきましたが、結局最後まで部活を続けた私と同じ大学にしか行けませんでした。

2年間おにぎりを作り続ける忍耐力と継続力を持つ彼女はきっと勉学も上手くこなせる子です。

時間的に甲子園後からでは間に合わなければ一浪しても良いのだし。

 

また、「おにぎりなんて部員一人一人が作ってくればいいじゃん」という声も聞かれます。

これはその通りだと思います。

私は高校野球に詳しくないのでなぜマネージャーが部員の軽食を作っているのかは分かりませんが、体育会系の部活はあまり合理的でない行動をとることが多い気がします。

私も高校時代所属していた吹奏楽部ではなぜか馬鹿でかい声で「はい!」と叫ぶ練習を毎日させられました。

大学時代はサークルでしたが合宿中は毎晩女子部屋だけにOBが来て雑談をしていく、男子は男子で深夜まで芸の披露大会をする、など訳のわからない伝統がありました。

毎日練習で疲れているのだから早く寝させろ、といつも思っていました。

けれどこういった無意味な伝統や規律を守るように訓練された人間は社畜としては大変優秀ですので、体育会系出身者は重宝されるのです。

社畜が必要とされる限り、体育会系の非合理な伝統は潰えません。

 

この話題で私が一番気にしているのは、独善的で傲慢なおっさん、おばさんたちの言葉が彼女に届かないようにしてほしい、ということです。

こんなくだらないことで無邪気な彼女の笑顔が曇らないことを願います。